ちょっと(一部の)オフロードバイク乗りに苦言。以前にも書いた事がありますが・・・

私が20代の頃はバブルもありましたし、モータースポーツ全盛の時代でした。
その頃、あうぞーさんを誘ってちょっとだけ4輪のラリーをかじりました。その頃の国内ラリーは意外に華やかなものでして、夏のスキー場にSSを設定して観客を入れたりもしていました。

そんなモータースポーツに理解がある時代でも、どんどん林道への進入は規制されました。走れる林道は少なくなっていきました。
当時、4輪のラリーをはじめとする専門誌であったプレイドライブ誌(PD誌ですね)は度々危機感を訴える記事が掲載されていました。

林道が閉鎖された原因はゴミの不法投棄とも、当時流行ったクロカン4WD車によるものとも言われましたが、ラリー車もその原因の一因であった事は疑う余地はありません。だって、ラリーの競技の時は大会終了後に復旧工事が行われますが、それ以外でもラリー車が練習に来れば林道が荒れるから。
林道が荒れれば復旧工事をする必要が出てきます。大抵は管理者が営林署ですが、その場合は税金でまかなわれます。

確かプレイドライブ誌だったと思うのですが、「群馬の営林署が料金を取って林道を開放する事を検討中」という記事が記憶に残っています。これは、営林署が管理する林道で走行料を徴収し、そのお金を林道の修復に充てようというものでした。その代り、普段は走れない林道を開放しましょうと。営林署からすれば林道を閉鎖してしまえば済むことです。でも、ラリーが盛んな群馬という土地柄もあったのでしょうが、営林署という行政がラリーを認めていたのです。
私はこれに賛成でした。でも、実現はしませんでした。

私は4輪のラリーをやめました。次はラジコンです。
最初は車で遊んでいましたが、俗に「空物」と呼ばれる飛行機やヘリコプター,グライダーを楽しんでいたら、同じことが起きました。
昔は河川敷で飛行機を飛ばす事は問題がありませんでした。が、そのうち「騒音」が問題となりました。また、時々起きる墜落でラジコン愛好家以外が事故に巻き込まれると新聞沙汰になり、それまで飛ばしていた場所が行政によって黙認できなくなり、規制されるようになりました。

勿論、ラジコン愛好家も工夫しました。まず騒音。
それまで2ストロークのエンジンが当たり前でした(と聞きました)。安いし、軽くてパワーがあり、ラジコン飛行機にはうってつけでした。最大のデメリットは騒音でした。
静かなエンジンを求めて、私が楽しんでいた時期に急速に4ストロークエンジンが普及した記憶があります。2ストロークより高価で重くて複雑なメカニズム。それでも、4スト化は時代の流れとなりました。
更に先進的なマニアは電動化を急ぎました。90年代は今ほどモーターやバッテリーの良い物が手に入りませんでしたが、皆で情報交換をしながら熱心に取り組みました。たまたま私は電動の車で結構とんがったNASCAR(オーバルレース。当時、全国でも数十人しかマニアが居なかった)をやっていて、日本より電動化が進んでいたドイツやアメリカの最先端の機器を取りいれてノウハウを蓄積し、車より電動化が遅れていた「空物」の世界にフィードバックしていました。
日本中のマニアが頑張って、エンジン機よりもスピード等は電動の方が上回るようになりました。パワーが必要なヘリコプターも電動化がドンドン進みました。私はもっと無音な世界を求めて電動グライダーまでいきました。電動グライダーは上昇する時にしかモーターを回しません。早朝に河川敷で電動グライダーを飛ばしていると、散歩やジョギングの人から「良い趣味ですね」と声をかけられる事が度々ありました。エンジン機だと110番通報されるのに・・・

墜落事故に対しても、妨害電波の混信などに強いフェイルセーフ機構が標準的に使われるようになっただけではなく、さらに複数の受信機を積み込んだり、電波が途切れたら自動的に姿勢を制御して墜落を防ぐといった事の研究が進みました。

それでも、残念ながら一度始まった規制の波は止める事ができませんでした。「ラジコンはダメだ」というレッテルが貼られてしまったのです。

乱暴な言い方ですが、ラジコン愛好家は自ら自分達が遊ぶフィールドを潰してしまいました。

ラジコンが楽しめなくなって、釣りを始めました。海の釣りです。
2000年頃は、東京湾でもかなりの場所で海釣りが楽しめました。それこそフェンスでがっちり仕切られた保税倉庫とか企業の私有地に立ち入らなければ、釣りはラリーやラジコンとは比べ物にならないくらいレジャーとして広く認められていて、行政も企業も黙認していてくれました。休みの日などは護岸で釣りをしていると、その敷地の所有企業の人から声を掛けられるなんて当たり前でした。「どう?釣れてる??」なんて事は良くあり、巡回してきた警察の人と談笑なんて普通の光景でしたね。
当時、一緒に釣りをしていた人には「日本で本当に自由に釣りができる場所は無い。なぜなら、公有地や私有地でほぼ100%なんだ。黙認してもらっているのだから、ゴミを捨ててはいけない。事故を起こしてはいけない。そして、釣りをさせてもらっているという感謝の気持ちを持たなければならない」と教えられました。

まぁ、海の釣りはSOLAS条約等の影響もありましたが、それでも釣りのできる場所はまだまだありました。
ところが、今度は釣り人のゴミと転落事故です。さすがにマスコミ沙汰となれば行政はすぐに規制をします。
当たり前ですね。行政は面倒で責任になるような事は嫌います。行政の責任になるなら、彼らは躊躇なく規制します。それだけの権力を持っています。

またも乱暴な言い方ですが、釣り人は自ら自分達が遊ぶフィールドを潰してしまいました。

そして、バイクに乗り始めました。オフロードバイクです。路面へのインパクトは車に比べてものすごく少ないですから、当初は大丈夫だと思っていました。
でも、現実は違いました。ドンドン林道は閉鎖されていきます。勿論、最大の理由はゴミの不法投棄とは思いますが、閉鎖されてしまうのは現実です。

一部のオフロードバイク乗りは「アタック系」と称して、山に分け入るようになりました。これは楽しい遊びです。私も楽しいと思います。否定しません。
でも、気になる事がありました。ハイパワーなオフロードバイクがタイヤを空転させながら登った後にワダチができます。多くのバイクが毎週の様に山肌を引っ掻き回します。雨が降ればそのワダチに雨水が流れ、ワダチはドンドンと深く掘れていきます。そんな山肌が一杯ある事を見ましたし、自慢げに公開されているアタック系のYouTube動画でも山肌が深くえぐれているシーンを多く見かけます。

以前、ラリーライダーであり、ラリードライバーでもある三橋 淳氏がフリーライドマガジン誌で警鐘を鳴らしていました。この時は埼玉の山中を例にとり、「このままでは走れなくなる!」と写真付きで記事にされていました。

今は無くなってしまったサンシャイントライアル等でコース設定をされていたトレックフィールドさんはトライアルタイヤの装着を進めていました。サンシャイントライアルで使ったシングルトレールの山肌がトライアルタイヤだとビックリする位にインパクトが無い!と。

私は、たまたま知人に勧められた事がきっかけでもあるのですが、少しだけトライアルをかじっています。トレール車でやるトライアル。別にすごいステアケースを登りたいとか、華麗なフロントアップをしたいという理由で始めたのではありません(できれば嬉しいけれど)。
それよりも、「いかにタイヤをグリップさせて路面を引っ掻かないか?」を学ぶためです。勿論、シェルパやセロー,XR230の標準タイヤはトライアルタイヤです。普段は街乗りが主体ですのでまったくもって意味が無いのですが、時々林道を走ったりする時の路面へのインパクトを考えての事です。


長くなりましたが、私は上記の様に過去の経験から少なくとも地元の方に迷惑を掛けない事を最重要視しています。

レースならともかく、林道ツーリング位ではオフロードウェアは着ません。私が林道ツーリングでモトクロスジャージ等のウェアを着ていない事を見た事がある方もいらっしゃると思います。それは持っていないのではなくて、あえて着ていないのです。目立ちたくない。周囲を威圧したくない。

オフロードブーツすら履いていない事が多いですよ(笑) → まあ、これはこれでいけないですが(笑)

国内外で2輪のラリーを主催しているSSERさんでは、公道で周りの方を威圧しない様に派手なグラフィックスはレギュレーションで規制されています。また、騒音問題を配慮して、ノーマル以外では低騒音のSSERで認可されたサイレンサー以外の交換は同じくレギュレーションで規制されています。

山を楽しむオフロードライダーも4輪ラリーやラジコン,釣りといった他のジャンルの人々が経験してきた事を学ぶべきです。今はネットで簡単に調べる事ができます。
もう遅いかもしれません。でも、まだ間に合うかもしれません。

とにかく、周囲との共存をしないとオフロードライダーは自分で自分の首をしめますよ!