マスコミを賑せていますね、新幹線の事件。

どうしてもこの様な事件があると、賛否両論の報道が行われます(マスコミによる発表は報道としましょう)。
翌日あたりからは「新幹線の安全神話は揺らいだか?」といった見出しが見られるようになりました。

私は今回の事件を教訓に学ぶべき事はあると思いますし、システムというものは失敗から学んだことをフィードバックして徐々に充実,洗練されていくものだとも思っています。少なくとも、新幹線については過去の事件や事故を教訓として車内には難燃性の素材が使われていましたし、トンネル内での火災はより被害を大きくすることからも今回はトンネルとトンネルの間で車両が露出する位置に停車させています。
あの長い16両編成の東海道新幹線で働いているJRの職員の方は4名(運転手1名と車掌が3名)です。限られた人的リソースで情報の収集,乗客の安全確保,消火活動,管制室や消防・警察との連絡と考えられる限りの対応はキチンとされていたと思います。
そしてお昼前でピークとは言えないけれども、後続の列車も追突しないようにキチンと止める。新幹線を運行するシステムとしては人も機械もキチンと機能していたと言っても過言ではないと思います。

マスコミの論調は今後どの様に対策するのか?となりますが、重大なことが抜けていると思うのです。
新幹線だけ対策を講じれば良いのではないということ。

在来線の特急や長距離列車は勿論の事、近距離の通勤電車もそうですし、地下鉄やバスといった公共交通機関の全てに同じことは当てはまります。
更に不特定多数が利用する設備等は交通機関に限らず「守りにくく攻めやすい」という決して解決できない問題を含んでいると言うことです。
ひょっとしたらですが、「新幹線の安全神話が揺らいだ」のではなく、「新幹線だからあの程度で済んだ」のかもしれません。

悪意を持った人間の行動を止める事は非常に難しいです。過去に何度も何度もハイジャックが行われ、空港や航空機側では鉄道や船舶の非ではない対策が行われているにも関わらず、いまだにハイジャックは発生しています。そのくらい対策は難しいと言うことです。

事件にあった新幹線に乗車され、巻き添えで亡くなられた方のご冥福をお祈りすると共に、怪我をされた方々の1日も早い回復を願ってやみません。