なんか巷では残業代0法案(?)が話題らしいです♪
ちょっとだけ聞くと、働く人を無視している様にも聞こえますけれど、必ずしも正しくはないと思います。
ただし、この残業代0が当てはまる仕事と当てはまらない仕事があるという事です。

過去の経験からすると、自分の年収の3~4倍の粗利がないとほとんどの会社は成り立たない様です。
事務所の経費とか、間接部門の経費とかですね。

工場のライン等は分かりやすいと思うのですが、例えば月に200時間の仕事が決まっていて、100時間残業したとします。
生産現場だと、時間あたりの生産台数が大体決まっている場合、1.5倍稼働すれば1.5倍の生産ができます。という事は1.5倍の売り上げと粗利が見込める訳ですから、現場の人に1.5倍(つまりこの例だと100時間分)の残業手当を払うのはごくごく当然ですし、払わなくてはなりません。
※「作ったけれど売れない」といったパラメータは面倒なので割愛します。

これがホワイトカラー(この呼び方、嫌いなんですが)だと状況が変わります。1.5倍働いたからと言って、1.5倍の粗利に直結するわけではないですよね。元々の労働時間(分かりやすく1倍で200時間/月とします)で2倍の粗利を上げる人もいるし、2倍働いても1倍の粗利しか出せない人もいる。
仮に入社年次が一緒で、役職も同じ2人がいたとしましょう。月々のお給料は20万円です。
Aさんはもともと決まっている200時間働いて100万円の粗利が上げられたとします。Bさんは100時間残業して300時間働き、50万円の粗利だったとします。
Aさんは残業が無いですからお給料は20万円で、粗利の100万円から20万円を引いた80万円が利益です。ところがBさんは1.5倍働いていますから、お給料は20万円の1.5倍となる30万円ですが、粗利は50万円ですから利益は20万円にしかなりません。生産性はBさんと比較してAさんは4倍ともいう事ができます。
※計算が面倒ですので残業手当の増額分とか、間接経費といった事は省略しています。実際はもっと複雑です。

労基法で残業手当の増額分が決まっていますから、会社側から見ればBさんでも利益が出せる様に基本給を安く設定して、一杯残業しても利益が出るようにします。すると、まきぞいを食らうのはAさんで、利益を出しているのにBさんに足を引っ張られて安い基本給になってしまいます。
※昔ながらの会社だと個人ごとの査定で多少差がついてきますが、大枠では在社歴と年齢,学歴でベースとなる賃金体系が決まっているので、こうなってしまいますよね?。例えば大卒の新卒で入社何年目はいくらとか。。。
本当は「残業しないと生活できない」という事ではなく、「残業しなくても生活ができる様に」が正解なんですけれどね。

とは言え、上記の様な矛盾を解決するための成果主義というのも日本に馴染んでいないのは事実ですね。

私は世間でいえば技術職ではありますけれど、幸か不幸か社会人になりたての頃より自分が担当している案件の売り上げと粗利をどの会社でも常に知っていましたし、提供する製品やサービスの原価も知っていましたから(知らなくてはならなかったの)、どんぶり勘定とはいえ大体の金銭面でのイメージは常にあります。「今年度はいくら売り上げて粗利はどの位確保しなくちゃいけない」とか。
おかげで、「売り上げと粗利を確保するためにどうしなくちゃいけない」という計算はできますけれど、損得勘定なしに新しい事へ突っ込んでいく研究的な仕事はできないのが難点ですけれど(笑)
もう15年位はほぼ年俸制みたいな感じで働いてきたので、残業代はバイト位でしか貰ったことないかも(爆)

残業代0法案の基本的な考えが必ずしも間違えているという訳ではないですね。ただ、それが向いている仕事とむいていない仕事があるという事は認識しないといけないですけれど。