久々にGoogleさんちのChromeで書いてます。普段はFirefoxなので、違和感がある(笑)

さて、本題です。
ここ数年でコンピュータのハードディスクが壊れた時に備えて、RAID(レイドと読みます)がだいぶ一般的になりました。
RAIDもいろいろ動作の種類があるのですが、一番わかりやすいのは通常だったら1台のハードディスクのみの所を2台にします。書き込む時は同時に書き込んで両方とも同じ内容となるようにし、ハードディスクのドライブが壊れた時にももう片方のドライブが使えるため、データの損出が無いという仕組みです。

ハードディスクドライブの中身はメカニカルな仕組みですから、寿命という物があります。また、寿命以外にも振動や衝撃などにとても弱く、ちょっとしたことで壊れます。例えば、電源が入ったままのノートPCを持ち歩いていて、ちょっとぶつけただけでも運が悪ければハードディスクは終わります。
※充分そのことを分かっていても、出張先でハードディスクを飛ばしたことがある・・・

そのための防御策のひとつがRAIDで、サーバ機のみならず市販のネットワークドライブでもちょっと高価な製品はRAID化されている物が一般的になりました。
RAIDは確かにハードディスクドライブの故障に対してはとても有効な手段です。客先に提案する時もRAID前提で考えますよね。

ところが、RAIDを過信してはいけないという事があまりにも世間に知られていません。

RAIDが故障に強いのは「ハードディスクドライブ」だけです。「RAIDコントローラー」の事に関しては本当に知られていないですね。
このRAIDコントローラーというのは、PC(CPU)から見た時に複数のハードディスクドライブをあたかも1台のハードディスクドライブの様に見せ、ドライブ間の同期などをつかさどっている部分です。このRAIDコントローラーはメカニカルな物ではなく、半導体で構成されていますが、半導体にも寿命はあります。つまり、RAIDコントローラーも壊れるという事です。

RAIDコントローラーが壊れるととても厄介です。
RAID構成されたハードディスクドライブが何かの原因で壊れたとしましょう。仮に2台でミラーリングの構成になっていれば、1台のハードディスクドライブが壊れても特に問題はありません。壊れた方のハードディスクドライブを新しい物に交換すれば、自動的に復旧して元通りの2台構成に戻ります。ここまでは良い。

ところが、RAIDコントローラーが壊れたとしましょう。この時、ハードディスクドライブそのものは無事だったとします。
新品の全く同じRAIDコントローラーに、生き残っていたハードディスクドライブを接続したら元通りになるでしょうか?

まず元通りにはなりません。
最悪問題のなかったハードディスクドライブの中身をすべて消去します。

RAIDは「自分につながっていたハードディスクドライブなのか?」を判断するために、ディスク上にRAIDコントローラー毎のユニークな情報を書き込んでいることが多いです。壊れたRAIDコントローラーと新品のRAIDコントローラーではこのユニークな情報が異なりますから、新しいRAIDコントローラーは「2台とも僕の知らない新しいハードディスクドライブだ!」と判断します。
ここでエラーを出してくる製品もあれば、何事もなかったかのようにハードディスクのフォーマットを始める製品もあります。つまり、最悪の場合、何の問題もなかったハードディスクドライブからデータを消してしまう事がありうるのです。

もし、業者さんや販売店の担当者から「RAIDだから安心です!」と言われたのならば、その業者さんはスキルが低いので要注意です。ちゃんとしたエンジニアならばRAID化したハードディスクドライブに対して、更にバックアップをとる方法を提案してくるはずです。
※最近聞いた話では「RAIDなのでファイルを消しても大丈夫ですっ!」と言い切ったSIerがいたとか。ここまで来ると「死んでしまった金魚を甦らせます!」と同じくらい不思議な世界なので、何も言えません・・・

極端な話ですが、例えばPCが壊れてもなんとかなります(交換するまでにかかった時間と費用は別として)。でも、消えてしまったデータは元に戻りません。データが大事だと思うこそRAIDを採用する等してデータの保全に努めると思うのですが、RAIDを過信したら一部のデータの破損や喪失ではなく、全部のデータがなくなりますのでご用心。

ちいさな事務所や自宅でRAIDのネットワークドライブをお使いの様でしたら、もう一台RAIDじゃなくて良いのでハードディスクを用意し、日ごととか半日ごとにバックアップを取ることをお勧めします。仮にRAID化されたドライブが逝ってしまっても、バックアップ時点までという制限はありますがこのバックアップドライブで凌げます。
本格的にサーバを運用しているところは、RAID化されたドライブを更に複数持ったり、テープなどにバックアップをとります。これが最低限の運用です。