最近、韓国に始まって、最近では「中国と一戦交えたらどうなるか?」等と言う威勢の良い記事が多い様ですね。
この間も、ネットをフラフラとしていたら「自衛隊の次期戦闘機は***だと、中国の***とは勝てる」とかいう掲示板なども多数存在する様です。

私の私見ですけれどね、戦争は武力で戦うものじゃない。ロジスティクスを含めた総力戦なんです。

ちょこっと調べるだけで、ローマ軍のとかも含めた昔から戦争の決着をつけるのはロジスティクスなのが分かるはず。
このロジスティクスというのは、前線に食料や弾薬といった物資を補給するだけじゃなくて、次の兵員や次の武器をドンドン準備できる本国の生産性(人間に生産性という言葉を使うのは嫌だけれど)も含めたお話です。
太平洋戦争では、帝国海軍が強力な戦力と錬度の高い兵員のおかげで序盤戦は優位に進んでいました。それが一転負け戦に転じたのはロジスティクスが追い付かなかったからです。
戦術的にはミッドウェー海戦で機動部隊の大半を失うという事が契機として取り上げられますけれど、私は仮にミッドウェーで負ける事無く、それ以降の海戦を勝ち続けたとしてもアメリカには負けていたと思っています。長引けば長引くほど総合的な国力に乏しい国は苦戦に陥るのです。

私の知る限りでは、太平洋戦争を開戦せざる得ない状況に追い込まれた後、山本五十六さんは「初期の戦で勝ち、早期に講和に持ち込む」という事を考えていた様です。アメリカの国力を知っていて、開戦せざる得ない状態ではこれしかないでしょう。
だけれど、開戦初期こそ機動部隊の中核で、この時代の戦争の核となった空母と艦載機が見劣ったアメリカですが、中盤から日本軍を圧倒する様になります。また、いくら錬度の高い日本軍が勝ち戦を続けていても、少なからず兵力は減少していきます。これに引き換え、連日連戦を強いられる日本軍に対し、アメリカン軍は1回出撃すれば2回はお休みと言う3交代制(?)の用兵で士気を維持します。次々に強力な新型兵器を開発,投入していきます。どんなに日本軍が優れていても、疲労と兵力の減少には勝てません。
これが歴史が実証する事実です。

だから、アメリカは湾岸戦争などで一気に決着を付けに行っています(これでも戦術的なロジスティクスで大分苦戦をしていますが)。
逆に長引いたベトナムや、近年ではアフガニスタンの掃討戦では多くの犠牲者をだし、事実上の敗戦です。

これは日本と中国にも言える事。
自衛隊の錬度は高いですし、保有している兵器の能力も高いです。尖閣諸島をめぐって開戦すれば、初期は圧倒できるでしょう。しかし、ここで講和に持ち込めなければ、不利になります。これも中国軍が劣る兵器と劣る錬度の兵員でもベトナムや朝鮮でアメリカを苦しめ続けた事実が物語ります。

私は決して中国を擁護する考えではありませんし、ここ数か月の尖閣諸島をめぐる中国の挑発には断固として対応する事が最も重要と思っています。これは韓国や北朝鮮なに対しても同様です。だからと言って、一戦交えるのと不利になるのは日本です。侵攻戦をすれば間違いなく負けますし、侵攻戦を行う意味も無い。防衛戦で良いのです。でも、それも長引けば不利。日米同盟のアメリカだって、あちらの事情でいつ手を引くか分からないですから。
日本は武力に頼ることなく、日本の挑発する国に対して対抗すべきと考えます。