今日は終戦記念日です。

数年前ですが、私はこの8月15日に靖国神社へ行った事があります。知り合いに誘われての参拝でしたが、靖国神社には後にも先にもこの1回行っただけです。

参拝した時の印象ですが、とても厳かでした。
多くの参拝者の方が、戦死された方々に対して敬意をもって参拝されていたと感じました。

でも、その場でとても違和感を感じた事があります。
旧日本軍の制服を着て所謂コスプレをしている人達です。キチンと参拝をしている人もいましたが、中には求められるままに写真の被写体になってニッコリという場面も見かけました(書きたくもないがもっと酷いこともあった)。
この時、私は無性に怒りを感じました。

参考までに。
私の父親が神風攻撃隊の一員として二式大艇という飛行機に乗り、攻撃機を誘導していった長峰さんと言う方の知り合いで、この方の本をいただいた事があり、小学生の頃にはそれこそ何十回となく読み返した事があります。

その長峰さんが著書で下記の様に書かれていますので引用させていただきます。

靖国神社に祭られている方の多くは、戦争が好きで戦っていた訳では無く、国を守るという使命感で戦い命を落とされた方です。「靖国で会おう」という言葉だけで神風特攻に関する出版物の多くが、実施者側からではなく、指揮・命令者側からの記録であり、??『特攻隊員は進んで志願を し、いち早く死につくことを希い、死生を超越し、みなニコニコ笑いながら、淡々として出ていった』とし、『特別攻撃隊員は、体当たり攻撃を特別の攻撃とは 思っていなかった』とする旨の活字が目につく。だが、はたしてそうだっただろうか。

私は実施者の一人として、けっしてそうは思わない。花もつぼみの若人らが、死生観の苦しみもなく、早く死につくことを望んだり、淡々として出てゆけるものだろうか。??

特攻は、決死隊ではなく必死隊である。特攻隊に編成され、出撃の日を待つ間の、死への覚悟の苦しみ、それは到底筆舌につくせるものではない。確かに、立派な軍人と呼ばれるほどの者は、常住坐臥死を覚悟していたであろう。だが、『覚悟をする』と『必ず死ぬ』ということは別である。また、任務遂行の過 程で、旺盛な責任感から、瞬間的に、死への道程を選ぶ例も多い。これも元より立派な行動であり、日常立派な人であった証左であるが、それは苦しみの点において、比較的容易である。これに反し、いったん死を予告されて、しかもそれを待つ日の苦しみに至っては並大抵のものではない。??

特攻隊員といえど、(祖国のために死を選ばねばならぬという)理性と(死にたくない、生きたいという)本能の統一を求めて苦悩したのが真実である」(??部は中略)

その様な方々に対して、コスプレという遊び感覚とも受け取られかねない行為で臨むという事は、失礼という範疇ではなく、亡くなった方をないがしろにする私にとっては許しがたい行為です。

話はそれますが、父方の祖父は中国戦線で機銃弾を浴びて怪我をした(頭に傷跡が残っていました)傷病兵でしたし、母方の親戚も大和の乗組員だったそうです(沖縄戦は病気療養中で行かなかったそうですが、戦友の多くが戦死して悔やんでいました)。その他にも親戚で何人もが戦死しています。
祖父などから戦時中の話を度々聞きましたが、決して武勇伝的な事は無く、戦争の悲惨さを聞きました。

当時の異常な空気があったとしても、「お国の為に」と命を落とした方々については、もっと多くの人がその現実を知る必要があると思いますし、その犠牲に対して参拝をする事は意味があると考えます。

政治家が靖国神社を参拝する事に対して、政治的な意味合いがある事は知っています。中にはふざけていると感じる政治家もいますし、近隣諸国(の政治家ではなく、戦争被害に遭った人に対して)にある程度の配慮をする事も必要かも知れません。また、戦没者の遺族に対して配慮する必要もあるでしょう。
一概には言えない問題だと思います。

でも、私は戦争指導者と呼ばれる人達を敬う事はできません。
※東京裁判が正しいかどうかの意見が分かれている事は知っています。軍部の上層部でも人道的見地から素晴らしい行いをした人が居る事も知っています。また、鬼畜とも呼ぶべき行動をとった人が居る事も知っています。
1人1人の行いを調べ、分けて祀る事は難しい事は分かるのですが、だからこそ、私個人としては一つの線引きとしてA級戦犯の合祀には反対します。戦争指導者ではない戦没者の方を参拝したいとは思いますが、結果として戦犯まで参拝するのは嫌です。

正直、私が参拝した時には「これで日本は良いのですか?こう言う日本を望んでいましたか?」と戦没者の方に問いかけました。

最後に、我が家にあった長峰さんの本は絶版になっていましたが、改題されて出版されている様です。
機会があれば読んでみる事をお勧めします。

二式大艇空戦記―海軍八〇一空搭乗員の死闘 (光人社NF文庫) 二式大艇空戦記―海軍八〇一空搭乗員の死闘 (光人社NF文庫)
長峯 五郎

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