脱原発
都知事選では原発を争点とする候補もいらっしゃるそうですね。
この選挙に限らず、反原発派と原発推進派の争いは続くでしょう。
反原発派は明確な廃炉をはじめとする今後のエネルギーについて、明確な策を示せてはいないと思います。
原発推進派についても、しっかりと安全性を担保できるのか?については説得力がある説明が無いのが現実でしょう。
私は以前より限定的に原発の再稼働はOKだと思っています。しかし、新設や海外への輸出は反対です。
全原発が停止したことにより、2011年以降の化石燃料(石油等)輸入額は年間4兆円ほど増えたといわれています。先日の読売新聞にも3.5兆円と書かれていましたから、大体その位の金額なのでしょう。
各電力会社の燃料輸入金額を調べればもっと正確な金額はでるでしょうが、まずはこの4兆円とします。
石油であれば、火力発電所以外にも一例として自動車の燃料等にも使われていますが、2011年以降劇的に消費が増えるとは思えません。世の中はエコカーブームですし、自動車の生産ラインで使用される電気の発電に使われているとしても・・・です。更に円安もありますね。
仮に、25%の電力を賄える比較的安全性が高い原発を再稼働させるとします。ここで4兆円の25%である1兆円の化石燃料の購入費用を減らし、電気料金はそのままとして復興にあてるとどうなるでしょう。確か、政府は復興予算を10兆円としていたと思いますが、25%でも1兆円。全原発が稼働したとしたら、復興予算の40%を毎年あてる事が計算上では可能です。
これは現実味が無いので25%を再稼働して1兆円を復興ではなく、次世代エネルギーの確保と現在の原発を減らしていく費用に充てるというのは現実的ではないかと思います。これならば電力会社の範疇での費用の使い方です(もっとも、「原発再稼働で浮いた燃料費は必ず廃炉費用と次世代エネルギーの開発に充当する事」の担保は必要です)。
よく、原発反対派の方が「再稼働させて、使用済み核燃料をこれ以上増やしてどうする!」とネット上で言われていますが、使用済みだけじゃなくて使用前の核燃料だって危険なんです。そして、使用済みだろうが使用前だろうが廃炉を行って最終処分する方法(場所を含む)が決まっていない。原子炉を止めただけでは連続的な核反応が起こっていないだけで、核燃料が放射性物質の塊であることは間違いありません。原子炉が壊れたら根本は同じことです。
同様に危険ならば、すでに持っている核燃料を使って廃炉や最終処分といって原発自らにかかる費用を原発自身で稼いでもらい、更に地熱といった次世代エネルギーの開発に充てるのが最も脱原発に向けて早いと方法だと思います。
そして、輸入の化石燃料に頼り続けるのも安全保障上問題があります。
なぜ日本が太平洋戦争に踏み切ったのか?の一因として、石油の輸入を諸外国に制限されたとも考えられますし、湾岸諸国に掃海艇を派遣する事が海外派兵とも言われましたが、そういう行動をとらなければ国の基幹となるエネルギー政策に影響が出ると思われたためです。実際、西洋諸国の多国籍軍に加わるかどうかは別として、機雷でペルシャ湾などを封鎖されたら日本は干上がります。
憲法を守って海外派兵(派遣ではなく派兵)を防ぐのは海外からの輸入エネルギー依存率を下げるのも方法の一つだと思います。
※個人的には自衛隊の派遣は支持しますが、同時に憲法に反するとも思います。だからと言って、憲法改正も違うと考えます。
※ちなみに、シェールガスが話題となりましたが、確かに中東からの依存率は下げられますし、原価も下がると言われていました。しかし、アメリカなどから輸入していたのでは先方の都合で状況は変わります。日本の沖合で採掘できるとの報道もありましたが、シェールガスそのものの採掘量や採算性に問題があるとの見方もあります。
※湾岸戦争とPKOとはまた意味が違いますが。
この原発再稼働についてですが、2011年の震災以降、色々な人と話をしました。私と話をしてくださった多くは「原発事故は嫌だが、だからと言って無くす方法が決まっていない即時撤廃も現実味がない。復興をはじめとしてお金がかかるのに、経済が沈んでしまってはそれすらもできない。リスクを承知の上で再稼働」という方でした。
ちなみに、今日の東京は大雪です。鉄道も止まりましたが、線路への積雪だけが原因ではない様です。
駅の掲示板に貼られた案内の写真が出回っていましたが、家庭での電力需要が高まり、需給が切迫したことにより東電から私鉄へ運行本数の制限要請が出たようです。
この時、東電管轄では全発電量を火力と水力で賄っています。太陽光等の自然エネルギーによる発電量は「ゼロ」です。この天気ですから当然ですね。
輸入に頼らず、国内で安定して確保できる少なくとも電気だけでも早急に確保するには新設なしの限定再稼働でその浮いた燃料費を地熱などに向けるのが今の所一番有効だと思うのですね。
地熱・・・建設に環境アセスやらなんやで10年。
総工費含めて電気代での回収は・・・やっぱり、国主導で行う必要がありますね。
東北など地熱向きと言われていますが、なぜか現主体は北海道。
太陽光の買取でひと悶着(買い取っても需要がない、線が細くて東北に送れない?)あったのになぜだろう。
LeeLooさん
地熱発電の普及は一番制約が多いと思います。
温泉が豊富な(地熱発電に向いている)場所は大抵国立公園だったりしますね。震災後に法律が改正されて、地熱発電は少し進めやすくなったはずですが、やはり環境アセス等を含めて制約が多い状況には変わらないです。
とはいえ、太陽光や風力が主流になるとは到底思えません。
太陽光の不安定さはあくまでも3次,4次電源です。風力は太陽光より安定しているはずなのですが、実際に北海道のオロロン街道沿いや津軽半島の設備を見てみれば保守などが大変で稼働率は高くないと思われます。
北海道そのものの電力状況が良くないので、原発や火力発電所の設置は必要ですが、津軽海峡を越えて本州へ供給はやはり無理があります。ここは地域振興策(緩い言葉で書けばですが)が色濃く出ているとも思うのですが。
地熱も東北と九州は有力地で、関東も富士?箱根や群馬には有力候補地が多いですね。
とにかく自前の安定電力供給によって輸入化石燃料への依存率を下げる事はもっと国策として推進してもよいはずです。ただ、原発再稼働で浮いた燃料費はあくまでも民間企業の電力会社の範疇ですから、これをどうやって国主導にするのは・・・簡単なんですけれど(笑)
原発の処理技術と新しい発電方法の海外への展開は4Kテレビなどよりもっと有益だとおもうのですけれどねぇ。
もっとも、世界のエネルギーバランスを崩しますから、強豪国からの茶々が凄いでしょうけれど(笑)