アルジェリアのテロ事件。残念ながら、日本の会社である日揮の方をはじめ、多くの方が亡くなってしまいました。
以前、プラント関係ではないのですが、日揮の方と仕事をした事があります。ですので、日揮の事は多少ですが知っていました。

今回の件で、日揮について私なりに調べてみたところ、アルジェリアに対して真摯に取り組んでいた様子がうかがえます。
最初は会社の存亡をかけての大プロジェクトで、赤字を出しながらもプロジェクトを完遂された事。内戦状態になっても駐在されている方を引き上げる事無く、プロジェクトを継続した事。欧米型の海外進出の様に利益を本国に持ち帰るだけではなく、現地の為にも尽力された事。
こう言った真摯な取り組みがどこまで本当か?と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。

今日、日揮の記者会見があったそうです。その中で、難を逃れた社員の方からヒアリングした内容では、「ターバンを巻いて日本人と分からない様にした上で、現地のセキュリティスタッフが身を挺して脱出に協力してくれた」のだそうです。
このセキュリティスタッフの方が職務に忠実だったのは勿論ですが、普段から日揮や日揮の駐在員の方がいい加減に接していたら、いくらテロ組織から「現地人の安全は保障する」と言われていても、日本人をかくまった事が分かればどんな目に合うかも予想できないのに脱出に協力する事は無いと思うのです。危険をかえりみずガードをして下さるという信頼関係を築けたのは日頃からの姿勢ではないでしょうか。

日本人は危機管理に弱いと言われます。確かにその面はあるのですが、今回の日揮の件や、イラクのサマワに派遣された自衛隊の皆さんが任務を終えて引き上げる時、現地の人から「帰らないでほしい」と署名が集められたり、現地のTVで自衛隊の活躍を報道されたりした事。これ以外にも多くの同様の事例があり、日本人ならではの現地に溶け込むという危機管理方法があるようにも思いました。
危機管理ではないですが、ホンダが海外進出をする際には「まずは現地に還元する事」を大前提としていたと本田宗一郎さんを語る本に書かれていた事があります。

自らの利益はもちろん大事ですが、それだけではなく現地の人にも貢献する。こう言う思想は日本独特に近いものだと思います。「これからの世界では通用しない」と考えられる方もいらっしゃるとは思いますが、この相手に貢献する思想は大事にするべきでしょう。
日揮さんは「現地の安全が確認できれば、プロジェクトは継続する」と言われています。社員の方は大変だとは思うのでが、現地の人から信頼を得る。これが最大の危機管理の様な気がしてなりません。

今回のテロで亡くなられた日揮の方や、多くの方のご冥福をお祈りいたします。