メディアと言うか、俗に言うマスコミのお話。

法案の可決でも海外情勢でもなんでも良いのだけれど、反対意見を主張する報道はマスコミとして行って良いのか?です。
よく、政府とか政権与党の発表に対して反対報道がありますよね?この時、「マスコミとして反対意見を報道するのは使命である」といった話が出ます。
概ねは間違いじゃないのだけれど、どのメディアも同じじゃないと言うことが意外に知られていないような気がします。

と言うのは、新聞や雑誌といったメディアを始め、最近流行のネットメディア等は免許制ではないので独自の見解に基づいた論戦を張っても良いと思いますし、良からぬ方向へ国家権力が動いているとするならばそれを阻止する為の有効な手段である事は明白です。
しかし、これがテレビやラジオと言った放送法に規定される放送事業者であれば制限が存在します。

まず第3条では

放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。

とされていますが、かと言って好き勝手な番組を作って良いという訳ではなく、続く第4条で

 公安及び善良な風俗を害しないこと。
 政治的に公平であること。
 報道は事実をまげないですること。
 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。

とも規定されています。
当たり前の話ではありますが、国民(いや、全人類とも言える)の共有財産である電波の利用ですから、特定の主張に傾いてはいけませんという事です。
これが従来であればペーパーメディアとも呼ばれる新聞や雑誌とは異なる部分です。こちらは国民の共有財産を利用してはいないですしね。

必ずしも厳守されているとは言えない事もありますが、新聞では報道する内容について客観的かつ公平に書かれた報道部分があり、その新聞社の主張は社説とか補足のコラムという形で掲載されています。つまり、「起きていることはこうだ」という部分と、「わが社の考えはこうだ」という部分が分けられています。
テレビのニュース番組にしても内容を伝える部分と別に、解説者が解説を行うという形で一応分けられているものの、内容を伝える部分で既にその局なり番組の意図に沿った内容で伝えられ、それを補強する為の解説という事が多いように思います。
こうなれば、放送法の第4条に反してしまいますよね。

免許は総務省が出すものだし、その総務省のトップは政治家だからといって国の方針に逆らうことの無い報道をしろというのではありません。
「国の方針はこう」、「それに反対する意見はこう」と報道しなくてはならないのです。
同様に、最近話題として上がることが多い海外情勢も特定の国に偏った報道ではなく、双方の意見を報道しなくてはならないはずです。
一般市民を狙って巻き沿いにするテロは論外としても、例としてトルコとロシアの件だって双方の言い分を公平に報道しなくては。

過去にも何度か書いていますが、アメリカのCBSで放送されている60ミニッツを20年位前にTBSの深夜枠で見たときはある種の衝撃でした。
ある出来事の状況を客観的に伝え、相反する双方の意見や主張を同じように扱った上で、番組としての見解は出さないというスタイルです。
世界のBBCですら完璧な公平さは無いとは言え、BBCやCBSの報道を見ているとニュース番組の中で持論を主張しある意味では結論まで出してしまう日本のニュース番組がどんなにお粗末なことか。