関東北部では台風に関係する大雨で土砂崩れや堤防の決壊があり、現時点でも複数の方が行方不明になるなどの被害が出ています。
堤防が決壊した当日、たまたま仕事をしながらスイッチを入れたTVに映し出されたのは堤防の決壊で濁流に飲み込まれる家屋や車でした。ちょうど陸自のヘリコプターによる救助が始まった頃のことです。

先だっては御嶽山の行方不明者の捜索で山岳地帯での難しい活動が報道された陸自の救助チームですが、今回もすばらしい働きをされたと思います。
ある家屋に取り残された人の救助に向かったと思ったところ、その家屋に近づいたのですがそばにある別の家屋に向かいました。「なぜそちらに行ったのだろう?」と思いつつTVを見ていたのです。後から向かった家屋の救助を終えて、先に向かっていた救助に取り掛かっている画面を見ていて違和感がありました。

なんか画面の様子が違う。

その後、Twitterに流れていた画像で納得できました。救助中の家屋の映像の後ろに先ほどまであったはずの家屋がなくなっています。
そう、先に向かっていた家屋を後回しにして先に救助を行った家屋が流されていたのでした。トリアージの能力、凄いな。

山岳地ではないとはいえ、ごく低空まで降りてすぐそばでヘリが並んで救助をしています。勿論、警察や消防のヘリも救助を行っています。
パイロットの技量は欧米の方が上と思っていましたが、決してそうじゃないですね。日本のパイロットを始めとする救助チームもかなり高い技量を持っていました。
そして決壊直後は自衛隊,消防,警察,海保合わせて20機ほどのヘリが集中して投入されたようです。この様な場面では威力がありますね。

残念な事に決壊当日の夜あたりから、「自衛隊ではなく消防が救助の主役になるべき」という意見がネットでも見られました。
しかし現実には、現在東北と関東の県,都を合わせて28機のヘリしかありません。そのうち、東京が8機を運用していますが、実際には各県に1,2機程度しか存在しないのです(余談ですが、私の住む神奈川県では横浜市と川崎市が2機ずつ市の消防局で運用していますが、県としては運用していない模様)。これらの機体も茨城で堤防が決壊したからといって、現地に向かわれるより先に地元の被害状況の把握と救助にあたらなくてはなりません。これは警察も同様です。
また、ホイスト等の救助用具を装備していないこともあります(またまた余談ですが神奈川県警は4機のヘリを運用していますが、ホイストを装備しているのは山岳救助に対応した「おおやま」と「たんざわ」の2機。なお横浜市と川崎市の消防局が運用してる4機は全機ホイスト装備)。

堤防が決壊してから日没までの短期間に現場へ急行でき、ボートでも近づけない現場へ急行し、救助作業が行えたのは警察,消防の様な自治体規模の部隊だけではなく、自衛隊や海保といった国規模の部隊がいたからこそとも思います。
短時間に多くの人を救助するには出動できるチームが全てあたるべきだと思うのです。単に自衛隊アレルギーだとしたら残念だなぁ。。。
※昔は救助作業に多くの自衛隊員があたっていても、マスコミは基本的に映さない,報道しないだったからなぁ。ある意味では進歩したと思うんだけど。