さっき書いたソフト屋さんの背景にはこんな状況があります。
ITバブル以降、ソフト屋さんの2極化が進みました。
一方はPC用のソフトやWEBアプリケーションの様に、ほぼ純然たるソフトだけの世界。
ここはソフトが大規模化するにあたって高級言語からより抽象的な言語へシフトしています。たとえば、C言語がC++になっていくように。
大規模化するにつれて、ソフトは肥大化しメモリとCPUパワーを喰います。だけれど、これはCPUとメモリの高速化,大容量化にお任せするという感じですね。身近な例だと、最近のPC用ソフトは新しいハードウェアじゃないと速度等の面で使い物にならないことが多いですよね?これです。
もう一方は組み込み用の世界で、とくかくコストを下げるためにハードウェアもソフトもできるだけ簡略化していくという流れ。
PC用のCPUは単価で何千円,何万円もしますが、組み込み用のCPUは何十円という場合が多々あります。
CPUパワーも上がっていますが、やっぱり速度を求めるとコストが上がるのでバランスが必要。
PC用といった大型(?)のソフトでも以前に比べてブログラングのスキルだけではなく、データベースのスキルだったりデザインのスキルが求められたりと、技術の習得は難しくなっているそうです。
でも、組み込みには・・・絶対的にハードウェアの知識が要ります。
同一の物を大量に作り続けるのであれば、ある程度時間や予算も取れますが、これはなかなか難しい。最近の流れは少量多品種です。
企画から開発,納品まで1?3カ月‥という案件も多々あります。
※ちなみに、PC用のOSなんて数年単位での開発です。ソフトだけなのに・・・(笑)
こうなると、「仕様書がないとできません!」なんていう甘ったれたソフト屋では通用しないです。概略仕様が決まったら、回路設計と並行して回路図やデータシートを読みながらソフトを作っていかないと間に合わないのです。
これには絶対的にハードの経験が必要。
ところが、最近は小学生の頃などにラジオを作ったりする経験がなく、ハード未経験の人がゴロゴロしています。
経験者は若くて40代半ば・・・という状況です。皆さん、もともとはハードの経験がある方。ここ重要です。
なので、私の身の回りの組み込み屋さんは、本当に高齢化が進んでいます(笑)
裏話ですけれどね・・・
バブル期に大量導入されたいろいろな設備があるじゃないですか?これの更新時期が来ています。
さらに、アベノミクス効果(?)で設備投資の傾向が顕著になってきました。同時に人員削減もありますが!
使える組み込み屋さん、意外にいないです。これから少なくとも数年は仕事が山積み。なおかつ、海外で作れない・・・んですよ(^ ^)
大問題ですねぇ。
コストばかりに目が行って、技術を疎かにしてきたということかな?
ローコスト海外ばかりに目が行って、肝心なものが抜け落ちているような・・・
鐵馬さん、どもです。
これは世の中の流れのタイミングも悪かったです。メーカーがハードウェア経験者を育成できるゆとりがなくなったことも原因ですし、すでに在籍しているエンジニアの確保すら難しくなったことが最大の要因です。
・バブルが弾けて設備投資が凍結された
バブルが弾けて組み込みシステムを多用する製造業などの設備投資が激減しました。そのため、組み込み系の仕事が減ったという現実があります。
その後、なんどかの不況の嵐のあとでリーマンショックがあり、とどめを刺されてしまいました。
仕事がないのでキャリアを積んだ組み込み系エンジニアは早期退職など・・・
・アナログからディジタルへの移行
また、組み込み以外のハード屋さんも、それまでの職人芸的な経験を要するアナログ世界が排除されて、誰でもできるディジタルの世界に移行しました。
これ、家電をみればよくわかりますが、日本のTVが世界を席巻していたのは設計や生産,調整に経験が必要なアナログのブラウン管時代でした。その後、誰でも部品さえ入手できれば、部品メーカーの回路図通りに組み立てることさえできれば誰でも同じ性能を出せるようになって、日本のAV家電は沈みました。
・ITバブルの影響
90年代末からはじまったITバブルは、組み込み系とは関係がない純粋なソフトの世界が一気に拡大しました。学生さんも仕事がなく先行きが不透明なメーカーではなく、ITベンチャーに流れます。
・パソコン,ゲームの普及
さらに追い打ちをかけるように、90年代には小学生の遊びにゲームやPCが加わり、他の遊びを駆逐していきました。
私くらいの年代までですと、小学校高学年の頃に工学的な遊びに興味を持つと、大抵はラジオの組み立てを経験してきたと思います。そのあと、アマチュア無線やオーディオに進むのが王道でした。あとは初期のパソコンですね。
こういうハード系は工具や部品の入手という問題があるので、誰でもできるという事ではなかったと思います。
その後、パソコンが普及することによって、ハードに触ることなくソフトからエンジニアの世界に入るという道が新たにできました。今ほど安価ではないものの、パソコンと開発ソフトがあれば特に費用がかかることがなく遊ぶことができます。
だから、ハードを触ったことがない。
更に、近年はコンピュータやデータ通信の高速化が著しく、扱っているデータそのものはディジタルなのですが、それ以外の部分はアナログハードのセンスが必要という先祖返りが始まっています。
個人的な意見ですが、ますますハードの高度化が進み、利用者が全く技術の経験がない一般層へ広がっていくと、経験豊富なアナログのセンスがあるエンジニアが必要となります。これは、完全にロジックの世界で生きているソフト屋さんにも言えることです。
私見ですが、日本の工業力が再浮上するには良い製品を安くという大量生産のロジックではだめです。誰でも作れるディジタルの世界なのですから知識と経験はいりません。
より高度な経験を要する世界に突入していますが、ここは「経験値」ですので半島や大陸や新興国はどうにもなりません。
同じ土俵で戦ってはダメです。
まだ経験豊富なエンジニアが団塊の世代として残っている今こそ、古きを学んで新しきを知る最後のチャンスだと思いますよ。
こんばんわ。
技術的な面でハードエンジニアは厳しくなっているんだぞ。。。
的な感じを受けました。かなり切実な感じですね。。
日本の技術力大丈夫だ!とか言ってられないんじゃ。。とも思ったりしました。
私が関係している所は、ソフト屋の方になりますが、
開発されてる方々の話などから「仕様書がないとできません!」。。。とまでは
いきませんが、「仕様書に書いて残さないとダメ!」…的な感じだったりしてます。
残す意味があるでしょうし、文証残してナンボ…みたいな感じです。
ある意味で、「甘ったれ!」と言われても仕方ないかな?…と思ったり…A(^_^;;
しぉぁにさん、どもで?す!
えとえと、とても単純なことです。
たぶん、日本の工業も2極化していくはずで、大量生産はコストが安い海外に進出する。
国内に残るのは少量多品種短納期で勝負する事だと思うのですね。
既に少量多品種短納期を高度な技術で仕上げることができなくなってきています。
ドンドンなくなっていく町工場と職人さん。
ハードに限らずソフトも同じ道をたどると考えています。まだ一般的ではありませんが、工場を作ったりする必要が無く物流もありませんから、オフショア開発と呼ばれる形態がもっと一般化してくるはずです。実際、中国やインドのプログラマーはすごいですよ。
勿論仕様書はとても大切なものであって、本来はなくてはならないものです。
スケジュールに余裕があればキチンとした仕様書は基本になりますが、短納期の場合は十分な仕様書や打合せが無いままに案件が走ることもあります。
それよりなにより・・・仕様変更や、バグが発生した時にいかに迅速に対応するかがポイントです。それは、その案件はもちろんのことですが、営業面で見ても同じで「グダグダ言うところ」より、「あ・うんの呼吸で動いてくれるところ」に発注しますし、受注できます。多少単価が高くてもですね。
記録を残しておくことは大前提ですけれど、記録とドキュメントの違い・・・あるんですよ(笑)