Twitterで流れていたとあるブログのお話

放射線を測定する線量計を借りた人が、仲間と同じ場所の測定をしたら数値が違っていたそうです。
で、分解して中の部品をいじったら、自分が測定した数値よりも高い数値が表示されるようになりました。
なので、「これは意図的に低い数値が表示されるように仕組まれている!」とブログで発表。

これが「酷いな」と言うのは、「意図的に低い数値が表示される」という事ではありません。

放射線もそうですが、アナログ的な測定をする測定器(この場合は線量計)は、ある程度表示される測定値を調整できる幅が予め用意されています。これは組立,生産しただけでは正しい数値が表示される事は無いため、較正と呼ばれる基準値に対して個々の測定器が正しい数値を表示されるように調整するのが世の常識です。
たぶん、中学校の理科とか技術家庭科の授業で、電圧計とか電流計も調整した事があるはずなんですが。

今回の場合、線量計が異なる数値を表示したのは問題です。これでは何が正しいのかが分かりません。
しかし、この場合は較正作業を行って、正しい数値が表示されるようにするのが正しい(と言うか、これしかない)です。

ブログの文面を私が読んだ限りでは、調整用の部品(たぶん、半固定抵抗器でしょう)をいじると数値が変わるという事を理解してやっている節が感じられました。何も知らない人なら、分解したところで調整用の半固定抵抗器をいじってみようとは思わないと思うのです。
ご本人に会ってお話を聞いたのではない事を前提にしますけれど、これは「確信犯」の様に思いました。

ネットの功罪(以前から書き溜めているのですけれど)は、マスコミや関係省庁,企業と言った思惑が入る事なく情報が流れる事です。その反面、誰のチェックを受ける事無く、誤った情報だとしても広く拡散してしまう事です。
事実、このブログの記事に対して「私も自然の放射線分等と言う理由をつけて、低い数値となる様に仕組まれていると聞いた事がある」等という人も出てきています。
以前は「放射能から逃げるために福島県から沖縄県に来たのに、今度は無線LANの電波が危ない」と大々的にTweetしている人もいました(「被曝」という言葉の意味としては電波を浴びるのも被曝ですから正しいのですが、放射能と性質が違うので同じ土俵にのせてはいけないですし、そもそも比べて比較にならないくらい安全という事もまた広く知られた事です)。
近年、こういう誤った情報を鵜呑みにしてしまい、更に誤った判断をする人が増えているのも増えているのが実情です。