Facebookで紹介されていたホンダの二輪R&Dセンター長でホンダレーシング社長の鈴木氏のインタビューを引用して紹介させていただきます。

ホンダの二輪R&Dセンター長でホンダレーシング社長の鈴木哲夫氏は、「今、日本は第3次バイクブームだと思う」と話す。

というのは、一人当たりのバイクに使う金額が大きく増えているからだ。「道の駅などに止まっているバイクを見ると、改造に100万円以上かけているものが ざらにあるんです」と鈴木氏。確かに、付属品をたくさんつけたバイクは多く、お互いに自慢し合っている光景をよく見かける。話しかけたりすると、嬉しそう に愛車について説明してくれる。

「ダメなのは新車の販売なんです。それ以外、この業界はものすごく活性化しています。ですから、うまくやれば、うちが伸びていけると考えている。そういう意味ではいい時代に来ていると思う」と鈴木氏の言葉に力がこもる。

しかし、今のホンダに伸ばしていける力があるのだろうか。価格やスペック、スタイルなどの面で中途半端な戦略では難しいといわざるを得ない。『DN- 01』の失敗がその典型的な例だ。改造に100万円以上かけているバイクの多くが輸入車で、ホンダのものは少ないのが現状である。まずはライダーがお金を かけたくなるようなバイクをつくる必要があるといえよう。

《レスポンス 山田清志》

レスポンスより引用

私がFacebookに書いたのは以下の通りです。

うーん、正直「どーなんだろう」と思う。
確かに、バイクにお金をかけている人は多いし、休みの日のパーキングとかはとてもお金をかけて改造しているバイクが一杯いる。
いきなりバイクの免許(それも大型)を取ってBMWとかDUCATIに乗り始める中高年が多いのも事実だと思う。
オフロード業界だって、1台100万円を超える外車のレーサーに乗るのが当たり前になっている。
確かに、1人がかける金額は増えているのだけれど、絶対的な人数は減っていると思う。だから、トータルで見ればアフター市場を含めて縮小しているのではないかな?

ホンダさんはNCシリーズとかCRF250Lをリリースして、すそ野を広げる方向で頑張っているし、私も間違いではないと思うのだけれど、「その次」とい う面が弱いのも現実ではないかと。ここは一つのメーカーの動きだけではなくて、国内4メーカーの統一した意識でアプローチしなくちゃいけないような。
例えばKTM。「Ready to Race」という実に分かりやすいコンセプトと製品で買いたくなる。BMWは「アドベンチャー」というキーワードで魅力的なバイクがある。
この辺のイメージは国内メーカーだとカワサキが一番秀でている様な気がするですね。一例だと(特に2013モデルからは)Ninjaは250から始まって1000まで統一されたデザインで「その次」がある。

昔、トヨタがやっていた「いつかはクラウン」ではないけれど、同じメーカーに囲い込むのではなくて「国産のバイク」というジャンルに囲い込むにはメーカー間の協力と言う方向もあるのではないかと思います。

よく、「若い人のバイク離れ」と言われますけれど、バイク(4輪もだけれど)の縮小はそけだけが原因ではないと思うのです。
確かに、若い人のバイク離れは進んでいますし、どうにかしなくちゃならない問題ではありますが、社会的情勢を踏まえるとそうそう簡単に解決できる問題ではないです。勿論、地道に「バイクの楽しさ」を伝えていく活動は絶対的に必要ですが、その効果が出るのは早くても数年先です。しかし、メーカーは「明日にでも」バイクを売って食べて行かなくちゃならない。
バイクではないですが、トヨタさんの86。トヨタさんは随分前から「自動車離れを懸念している」と発言を続けていて、高価になりつつあったスポーツタイプの車ではなく、86を投入しました。採算性から考えればかなりの決断だったそうです。それでも経営陣がGoを出すくらいの危機感があったとか。
でも、結果として86が売れているのは40?50代なんだそうです。昔の86を知っている世代。今の86が買えるだけの資金がある世代。

手っ取り早いのは「お金を持っていて、バイクの楽しさを知っている」年代に買ってもらう事だと思います。そうしなくちゃ、若い人がバイクに興味を持って買ってくれるようになるまで、メーカーの体力が持たない。
幸いにも(?)、2輪,4輪を含め高価な外車は売れているんです。DUCATIとかBMWは売れている。4輪だってベンツとかBMWは順調なんですね。

この世代、ステータスという面もあるとは思いますが、ある程度人生経験をしているので「物を見る目がある」という事だと思います。だから、中途半端な製品では買わずに外車を買っちゃう。レスポンスの記者が「しかし、今のホンダに伸ばしていける力があるのだろうか。価格やスペック、スタイルなどの面で中途半端な戦略では難しいといわざるを得ない。」と指摘している事に同感です。

例えばオフロード業界。販売台数が少ない市場なので、参考にならないかもしれませんけれど、ヤマハさんならWR450Fの国内販売をすれば良いと思います。’12モデルのWR450F試乗した人から良い評判しか聞かないのですけれど、ナンバーの取れる国内販売がありません(ナンバーが取れない限定販売はあります)。プレスト扱いの逆車販売も無いです。どうしてもナンバー付に乗りたい人はKTMとかの外車に行っちゃう。
これから開発する車種なら開発費もかかりますので難しいと思いますけれど、既にあるバイクならちょっと手続きをして日本市場に投入すれば済むだけです。これから大々的な啓もう活動にお金を使う事なく、ユーザーのイメージは格段に良くなります。ホンダさんのCRF-Xも同様ですね。
昨日終了した日高の2Daysエンデューロでは、久々にヤマハさんがWR250Rという市販トレールに鈴木Ken2カントクを乗せました(ナンバーが取れないWR450Fでは出られないという大人の事情もありそうですが)。そして優勝です。勿論、カントクが卓越した技量を持っているからなのですが、こういうプロモーションにはドキドキします。私がWR250Rを買ったのも、カントクがISDEにWR250Rで参加して、トレールでは考えられない様な走りにドキドキしてWR250Rに夢を感じたからです。

「世界的なバイク業界を盛り上げる!」という意気込みであれば良いですが、まず自分の会社をどうにかしよう!と思うのならば、これが手っ取り早いと思うのは1ユーザーの考えでしょうか?

ホンダさんの2輪販売規模とBMWやDUCATIにKTMといったメーカーでは市場規模が違いますので、同じ土俵では語れませんけれど、もうちょっと真剣に考えて頂いた方が良いと思います(勿論、理解されているとは思うのですが)。