大飯原発3号機が再起動されましたね。

これについては圧倒的に世論は否定です。それは当然です、福島第1原発の事故がありましたから。
私だって原発の事故は嫌ですよ。誰だって嫌でしょう?

でもね、実際に原発を止めるではないですか?全ての原発を止めて迎える「初めての夏」なんですね。
確かに私の住む関東地区ですが、去年の夏は大規模停電を免れた。計画停電も予想よりずっと少なかった。これは事実です。
全ての原発が止まったのは今年の5月。それ以降は停電が発生していない。これも事実です。
だからと言って「電気が足りている」と思うのはまだ早い。だって、最大の需要期である夏はこれからですから。

現在もっとも電力が足りないと試算されている関電の管轄地区ですが、昨年の夏はまだ原発が動いてしました。だから、供給ベースがあった。それがこの夏はその供給ベースがありません。原発以外の電力でどこまで持ちこたえられるのかは誰にも分からない事です。
勿論、専門家の試算はでています。これについては足りないとする関電の試算が正しくないという事が問題となりました。また、別の試算では電力は足りているという試算もあります。でも、あくまでも試算。パラメータが変われば結果も変わってきます。結果がどうなるのかは誰も正確な事が分かっていません。でも、停電してからでは遅いのです!

東電管轄の方は覚えていませんか?地震直後の大規模停電の事を。これは原発が停止したためではありませんが、停電により都市機能が完全に麻痺しました。確か他の地域では起きていませんよね?
停電で何が起きたでしょう?

私は少なくとも社会的インフラ部分、それも人命に関わる病院を始めとして、消防や警察、信号機といった部分の停電は絶対に避けなければならないと考えています。しかし、残念ながら他が停電してもこれらのインフラは落ちないという優先的な送電は現在の送電網ではできません
事前の準備ができる計画停電ですら、これらのインフラだけに優先送電するという事はできません。

計画停電では予め準備ができます。しかし、人工呼吸器を始め、生命の維持に電力が必要な医療機器に頼っている方は大変な思いをしています。停電時に対応する為のバッテリーが足りないとか、用意できても費用負担が大きいとか、病院の自家発電装置が足りないという事は、昨年報道されていた事です。
幸いにも節電の努力もあり、大規模停電は避けられましたし、計画停電も最小限で済みました。

個人宅の照明がつかない程度であれば我慢できます。冷蔵庫が利かなくなって、冷凍食品が解けてしまう。これも我慢すれば良いと思います。生命に影響がないから。
工場のラインがストップするのもやむ負えないでしょう。もっとも、大企業は自家発電装置を持っている事が多いようですから、影響を受けるのは設備を持てない中小企業ですよね。これで経済的打撃を受ける会社も存在するでしょう。倒産する会社もあるかもしれません。昨年の夏に町工場が密集する東京の大田区では大問題になりましたよ。でも、まだ生命に直接の影響はない
ただ、医療だけは絶対にそういう事があってはならないです。そして、人命を助ける立場にある消防と警察も。緊急車利用の通行を確保する為、信号機にも必要ですよね。携帯はしょうがないにしても、通報に必要な最低限の固定電話も電力が必要です。残念ながら病院ですら停電時の対応が完璧ではないのに、消防や警察はそれ以下です。信号機に至っては予備電源を持っている信号機の存在を私は知りません。固定電話もメタル線のアナログ回線は大丈夫ですが、ISDNや光は全滅します。その為、企業は一般的にメタルのアナログ回線を残しておくものです。まぁ、それも最近は怪しいですが。

このエントリーを書くために、色々なサイトを見させていただきましたが「関電の地域では6%も電力に余裕がある。節電の努力すらしなくて良い」と誠に不謹慎な事を平気で書いているサイトも見受けられました
私の感覚ではこの主張の根拠である「6%の余裕」ですら「6%しかない」と思います。電力ではないですが、物作りの基本からすれば、パラメータが確定している工場のラインでもない限り、6%は下限ギリギリ。通常は10%?20%位余裕をみるものです。
先ほども書きましたが、パラメータが変わればこの値も変わるのです。「6%もあるのだから節電すらしなくても良い」というのは大きな過ちで、「6%あっても節電の努力は必要」なのです。

先を急ぎましょう。
代替エネルギーが確保できるまで、限定的に原発を稼働させるという橋下市長の考えはもっとも現実的だと思います。稼働させても叩かれる,稼働させなくても叩かれる。ならば、原発を限定に稼働させて、災害に見舞われるリスクと、停電が発生して人命が危険にさらされるリスクを比較した場合、圧倒的に停電で人命が脅かされるリスクの方が高いです。勿論、原発稼働中に災害に見舞われるリスクは存在します。そして事故が起きた場合には多くの人に被害が及ぶのは福島第1原発で実証されていますが、だからと言って少数とはいえ人命を危険を無視するのはいかがなものかと思います。原発再稼働反対派の方はこの点を踏まえて「生命の維持に電力が必要な医療機器に頼らざる得ない人は、停電の可能性が低い地域に避難しましょう」となぜ言わないのでしょう?停電が起きて亡くなってからでは遅いです。見殺しです。殺人ですよ。
そういうリスクがあれば行政は原発を再稼働させます。

根本的なお話では、

  • 原発の危険性を広く世界に訴える
  • 原発の新設,増設はしない
  • 断層がそばにある,古いといったリスクの高い原発は停止を継続する
  • 原発の輸出はしない
  • 安全なエネルギー源の開発を急ぐ
  • そして、これからエネルギーが必要となる途上国には原発に走る事が無いよう、開発された安全なエネルギー源の技術提供を推進する
  • 節電に取り組みましょう

とすぐに実行できる事はやりましょう。政府が誤った方針に走らない様、監視して声を上げていきましょう。
安定供給可能な代替エネルギーが原発に置き換えられるまで(私は少なくとも20年はかかると見ています)今ある原発を必要最小限稼働(電力が足りる様であれば稼働させなくて良いです)させるのはやむを得ないと思います。