まず、先日のエントリーで紹介した「原発がどんなものか知ってほしい」をニュートラルな思考で読みました。

私は原子力発電や放射能の事については素人です。マスコミで報道されている内容しか知りませんし、全てが理解できているわけではありません。
それでも、自分の経験から「おや?」と思う部分が多々ありました。

例えば、妖精現実さんの「原発がどんなものか知ってほしい 第2版」でまさに指摘されている

技術者が「放射能でロボットが狂う」だの「原発の建物の物はすべて放射性物質に変わる」といった幼稚なうそを、 公の講演で言うはずがない。 他方、現場ならではのリアリティある記述も多く、平井自身は門外漢ではない。 幼稚な間違いと現場のディテールの混在は、 複数の人間がかかわって成立した文章だと考えることで、最も合理的に説明できる (「平井は精神病で、認識が混乱していた」などの特殊な可能性は除外する)。
妖精現実さんより引用

の部分です。
少なくとも、「放射能でロボットが狂う」という事はありえません。原発と言った放射能が渦巻く環境下ではないものの、私自身が産業用ロボットの開発に多少なりとも関わった事がありますし、ロボットではありませんが核戦争を想定している防衛庁(現防衛省)の機器開発でハードウェアやソフトウェア(これに機械部分のメカが加わってロボットが成立する。「狂う」とすればハードが壊れ、ソフトが正常に動作しなくなる)に携わりましたが、まったくありえない事です。
100歩譲って、放射能を宇宙線等を含む放射線として捉えればまったくありえない事ではありませんが、強い放射線にさらされている宇宙船や宇宙探査機がキチンと稼働している事から、十分に対策は可能です。
現に30年も飛行しているNASAのボイジャーがつい先日「太陽系を離脱する」とニュースになったばかり。30年前の技術でも十分対応できて、30年間正常に動作しています。

原発の建物が放射性物質に変わるというのもおかしな話です。放射能を帯びるというのならまだ分かるのですが、放射性物質に変わる事はやはりありえません。仮に放射性物質に変わるのであれば、核燃料はわざわざ採掘しなくても調達できそうです(^-^)

逆に「Re:原発がどんなものか知ってほしい」で解説されていた安全策は確かに講じられていたと思うのですが、現実に事故は起きてしまいました。また、妖精現実さんの

わたしたちの生活は今この瞬間も、原子力で成り立っているのだから、 実は、賛成反対というのはかなりナンセンスでもある。 現実的に停止できるし停止すべきであるむちゃな戦争に反対するのとは、わけが違う。 原発に反対して「ただちに原発を停止せよ」と息巻いている運動家に従い、すべての原発を停止してみよう。 東京は大停電に陥り、電話もインターネットも水道もガスも病院も…何も機能せず、 大混乱のカオスとなるだろう。飢え死にする人もでるかもしれない。 暗黒のパニックの中で、殺人・強盗などのあらゆる犯罪も起きるだろう。
妖精現実さんより引用

の中にある「今この瞬間も、原子力で成り立っているのだから、 実は、賛成反対というのはかなりナンセンスでもある」という指摘も、現在の日本では全ての原発が止まるという、エントリーを書かれた時には想像もできなかったであろう事が現実に起きています。

私個人の見解では、オリジナルである平井氏が書かれたとされる「原発がどんなものか知ってほしい」が99.9%のデタラメとは思いませんが、少なくとも「Re:原発がどんなものか知ってほしい」より信頼度が大幅に劣ると考えています。
ちなみに、オリジナルとされる「原発がどんなものか知ってほしい」は平井氏以外の人物によってまとめられ、平井氏の講演内容とは異なると多くのサイトで言われています。YouTubeで講演内容を撮影したと思われる動画がありました。1時間43分に及ぶ動画の様です。現在、確認をするために私も見ながらこのエントリーを書いている所です。
追記:ざっとですが一通り見ました。元々からトンデモ状態の部分がありました。

[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=rvS-xW2SiYw[/youtube]

ここ数日でいろいろなサイトや見解をご紹介させていただきましたが、どれもが90年代から2000年代半ばまでに書かれたものであって、どれもが現在の状況を正しく示している訳ではありません。現況は全ての想定を超えています。