ホンダがタイ製の400ccバイクを発表しましたね。既に、スクーターを中心に海外生産は始っていますし、今後は更に海外生産の逆輸入にシフトすると明言しています。
バイクだけじゃないのですが、先日の深夜に私がTwitterで呟いた事を加筆修正して、Levicoの考えを書いてみますね。

まずは、「やっぱさ、何事も開発,設計は日本でやらなきゃダメだと思う訳。量産はチャイナでもいいけれどね。」という事。私の経験,実感として製品の作りこみという観点では、韓国と中国は日本に劣る。勿論、サムスンとか一流もいるけれど日本のメーカーはその上を行っている。だから製品価格が高いんだけれどね。
日本製の日本製品を購入した場合、初期不良ってすごく少ない。これは、製品の出荷前検査を含めた品質管理が徹底しているからなんです。ところが、韓国とか中国の場合、品質管理が言葉は悪いけれどいい加減。
「数を多く作っておいて、交換してあげればいいじゃないか」。これ、私が接した韓国のベンチャー企業の社長が口にした本当の言葉です。まず不具合品を買ってしまったお客さんに「ごめんなさい」という気が無い。それも根本的な設計でミスをしていても、こんな感じなんですよ。

日本は戦後の高度成長期の初期こそ「安かろう悪かろう」と欧米から見られる位、品質が悪かったんですよ。これが、「良い物を安く」に転換する点があったんですね。個人的にはホンダとSONYの台頭だと思うけれど。

でも、世界的に景気が悪い現在、価格で有利な中国製品が日本に限らず世界を席巻しようとしています。
どんなに頑張っても、Made in JAPANである限り、中国や更なる新興国の価格攻勢には勝てません。

じゃあ日本は生き残れないか?それは否。スイスの時計メーカーは時計業界の新興国であった日本のカシオとかに一般層はさんざんやられたけれど、プレミアムな路線ではしっかり残って業界を維持している訳です。日本もそういう時代になる。いや、そうしなくちゃいけない。

例えば、ガラケー。日本の携帯を揶揄する呼び方。日本人の好みに合わせたら高機能になっちゃった。途上国はそこまでの機能がいらないから日本の携帯は高いという。確かに、多機能なガラケーは高価ですね。ワールドワイドな商品でもない。でも、周りを見回してみて?日本でも、iPhoneとかスマートホンからガラケーに帰ってくる人が増えつつあるんだから。
日本人は高機能が好き。これはPBXの開発をやっていた時からの実感。お客さんは値段の次に、機能の多さで買うんですよ。通常使う機能は10もないのに、200以上の機能が詰まっているんだよ。この機能が多くないと売れないんだ。ガラケーと一緒じゃん!(笑)
ガラケーは世界から遅れた携帯じゃないんです。日本という市場にマッチさせ、生き残るために他の国をはるかに上回るスピードで進化した端末なんですよ。

でね、最近話題のiPhoneもスマートホンも「電話」が基本なんですよ。その電話の機能が貧弱。ミニコンピューターとしては良くできているけれど、電話としての使い勝手に不満を感じるから、2台持ったり、ガラケーに帰ってくるんでしょ?

 

極端な話、日本の簡単携帯をちょっと手直しすれば、海外でも渡り合えるんですよ。携帯じゃなくて、スマートフォンだけれど、SHARPが「ガラパゴス」プロジェクトを発表しましたね?日本人の感性で作り出された物が海外に展開していく訳です。ワクワクしちゃいましすね。

だから、今後は開発の作りこみは日本人の感性で。量産については安い諸外国にしないとダメだと思う。

日本の量産工場(特に町工場)も、ただ指をくわえて海外流失を見ているのではなく、オリジナリティをださなくちゃ。
ネットのニュースで見たのですが、新潟の町工場が厨房機器を作るのをやめて、磨きの技術のレベルアップをしたそうです。結果、今までとは違う依頼主ですが、毎月数万台も作るiPodの裏ぶたで不良率0%を続け、Appleが頭を下げにくるくらい。そういう力を持っている製造業(町工場)は一杯あるはず。

私、個人的には台湾,韓国,中国が伸びてきても、まだまだ日本にはアドバンテージがあると思う。
少なくとも、私は日本の特に製造業に悲観はしていない。むしろ楽観的。

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と、ここまでが主にTwitterで呟いた事のまとめなんですが、散発的に呟いたのをまとめるのは難しいねぇ(笑)

ちょっと話が脱線しますが、冒頭でふれたようにホンダさんはバイクの海外生産にシフトしています。
ところが、スズキさんは逆に国内での生産比率があがっているんですって。これは私の理論で行けば「プレミアム市場に活路を見出す」というのと、同じ事だと思います。特に欧米のバイクのエクストリームとかを会場や映像をYouTubeとかで見てもハヤブサの占有率が高い。彼らから見れば、外車ですよ。それでも乗りたくなるような魅力があるんでしょうね。
また、オーストリアのバイクメーカーであるKTM。WikiPediaによると、年間8万台の生産量を誇るメーカーですが、「Ready to Race」を掲げ、オフロードバイクのプレミアム市場をほぼ独占している。250ccのオフロードバイクはカワサキ製で50万円台。ヤマハ製で70万円台ですが、KTMは日本国内で100万円します。それでも売れます。

先日眺めた、aheadという雑誌に載っていた文。「VWポロとニッサンマーチ」。
ポロを見た日本の自動車エンジニアが「手が届かない所にいっちゃった」と語ったそうです。そういわせるまでの作りこみ。日本車や韓国車と競争する事を求めていません。
そして、「ここまでやっちゃった、マーチの低コスト化」。見るからに手抜きと分かるチープさだと言うのです。

ヨーロッパは既に低価格で勝負する事を追いかけていません。手に入れる事によってオーナーが感じるステータス性といったものに価値観をシフトしています。日本も、中国や韓国と競っていちゃダメ。日本独自のステータス感をださなくちゃ。トヨタのプリウスなんてハリウッドスターがこぞって乗る位のステータスがあるんですよ!

「良い物を安く」。いい事です。日本を数十年間引っ張ってくれた概念です。
でも、今後の数十年は「良い物を適正の価格で」だと思うんです。