今日の暴言です。

企業は従業員の雇用を守らなくてはなりません。就業規則はもとより、法に触れた等、よほどのことがない限りは解雇ができません。
この法律の趣旨は賛成です。管理職の気まぐれで従業員が解雇されるのは問題があります。

しかし、従業員の指名解雇ができない事による弊害もあります。

例えば、業績が悪化し人件費の削減が必要となった場合、多くの企業(特に人の目がある大手)は希望退職制度という方法で従業員を減らします。多くの方は理解されているかと思いますが、希望退職制度で自ら退職を名乗りでる従業員は、他から声がかかっていたり、他でもやっていけると踏んだ人達です(その先でうまくいくかどうかは別です)。
多くの場合、残ったのは業績回復へ貢献できないダメ社員だという事。これではせっかく人件費が削減できても業績の回復は期待できず、ただ単に終焉までの時間稼ぎに過ぎないという事です。
中には、「思いとどまってくれ」と退職を説得される方もいらっしゃると思いますが、「辞めてほしい」と思われる人を辞めさせられないのは大きなマイナスです。
そのおかげで(?)、「退職部屋へ押し込んで自主退職を促す(実際は強要)」などという事態も起こるわけです。

最初に書きました通り、例えばワンマン社長が「あいつは気に食わない」などといった合理性のない理由での解雇は全くもって論外です。とは言え、必要がない従業員が残り続けるのも問題。
経営側と辞めてもらいたい従業員の間の話し合いで解決できるとも限りませんし、難しい問題ではあります。
私が今まで見てきた中では、希望退職に応じた人は仕事ができる人で(要は他でもやっていける)、残ったのは仕事ができない人ばかりという事がありました。

とは言え、希望退職制度等というのは大手のやることで、中小企業では公にならない程度での事実上の指名解雇なんかも実際にはあります。そういう面では法律が形骸化していることも無いとは言えません。
※それ以外にもあらゆる手段で自主退職に持っていきますよ。そんな場面を見てもきたし、経験もしたし。

企業は業績に応じて人員の調整をしたいがために正規雇用の正社員ではなく非正規雇用に走るといった事もありました。本来ならば解雇がしやすい非正規雇用ならば、そのリスク分を待遇として正規雇用の社員より上乗せして給与などを支払うべきだと思いますが、実際には正規雇用の社員より悪い待遇であることがほとんどです。
指名解雇が定着すれば継続的な収入の安定性は担保できませんから、正社員であっても現在の非正規雇用の様にローンが組みにくいといった状況が発生するでしょう。それでも、「3か月先に更新されるかどうかも分からない」という非正規雇用よりは安心感が多少でもある様に思います。

本来であれば指名解雇がもっとしやすくなることが望ましいのですが、それが難しいようであれば、少なくとも永続的な雇用ではない契約社員には正規雇用の社員より待遇を良くすれべきだと思います。