ここ2,3年、IT業界で話題のキーワードは「クラウド」。でも、私が調べたり、知る限りではこの「クラウド」っていうのがあまりにも曖昧で曲者なんですよ。

例えば、外部データストレージもクラウド。サーバサイドコンピューティングもクラウド。全然やっている事は違うのに、全部「クラウド」でくくられちゃう。

クラウドって言うから新しく感じるだけで、実際は昔からやっている技術なんですね。その筋の専門家という人がこの文章を見たら怒るかもしれないですけれど、例えば外部ストレージを例にとれば、社内LANにつながれたNAS等と呼ばれる外部記録メディアと、インターネット越しにつながれた外部記録メディアはネットワーク的に見たら何ら違いはないです。確かに、インフラ屋的なネットワークの視点だと、物理的距離の問題等がありますが、ほとんどの話題はアプリケーション層とかの話でしょ?だったらアプリケーションから見るネットワークは同じ物と扱って差し支えないと思います。

サーバサイドコンピューティングだって、ある種のものはCitrixとかTarantera(つづりあってる?)がやっていたシンクライアントと何ら差はない。ただ、ネットワークの規模が違うだけ。入出力端末がこちらにあるだけで、実際は画面の転送とキーボードやマウスといった入力デバイスの情報を転送しているだけ。
中には、サーバ側でアプリを持っていて、ブラウザでそのアプリを使うというのもあるのだろうけれど、それだって10数年前から実用化されていますよね?

どうも、iCloudとかEvernote,DropboxにMSのOfficeについてきた何とかノートとかいうアプリも殆どは外部ストレージの一種の様ですね。取り立てて騒ぐほどの事じゃない。

個人的には、「全てがクラウドに!」とか書かれているコラムを読むたびに、「嘘つけ!」と思いますよ(笑)
確かに、広域で安定しているネットワーク環境においてはサーバサイドコンピューティングとか外部ストレージは便利なものです。実際、私はシンクライアントのメーカーに勤務していた事があって、その恩恵は肌で感じていますから。
ただ、それだけのネットワークを確保できるのは、世界でもそう多くなくて、トラフィック的には軽いはずのメールですら満足に利用できない国や地域が一杯あるんです。
日本国内だって、ADSLや光なら良いですが、3G回線で「クラウド」を体験してみてください。PCを投げつけたくなりますから!(笑)事実、我が家はADSLから光への乗り換えに手間取って現在3G回線を利用していますが、DropboxとかEvernoteの様な外部ストレージや、客先のWindows Serverにリモートデスクトップで入る様な時はかなりイライラさせられます。

IT業界はね、昔の技術を焼き直してあたかも新しい技術として売り出し、いかに金儲けしようかという詐欺師で一杯です。考えてみてください。一時期の合言葉はダウンサイジング。メインフレームからパワフルになったPCに置き換えよう!が時代の流れでしたよね?サーバサイドコンピューティングは集約型のコンピュータに戻ろう!ただし、各社が所有するのではなく、サービスとして貸し出すよ!って言っているだけです。それをあたかも新しい技術の様に振る舞うのはいかがなものでしょう?

まぁ、私レベルではなくて、大手IT企業のクラウドに関するエバンジェリストさんはもっと革新的な事を考えていらっしゃるのかもしれませんが、私もレベルでは「なぁ?んら恩恵ないよねぇ(笑)」という所でしょうか(^-^)

 

<追記>
もっともIT詐欺の例がありました。
ASP ⇒ SaaS ⇒ クラウド
同じものを名前を変えて売っている例(笑)